「毀損(きそん)」と「破損」は、無形の対象を含めるかどうかが大きな違いです。
対象が形のあるものにも、形のないものにも適用できる「毀損」に対して、「破損」は形のあるものにのみ適用されます。
つまり、毀損は無形の資産や概念も対象に含むことができますが、破損は有形の物体が壊れることを指す用語です。
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「毀損」と「破損」の根本的な違い
対象範囲の違い
「毀損」は、有形および無形の対象が損害を受けることを指し、一方「破損」は有形の対象に限られます。
対象:形のあるもの 対象:形のないもの
毀損:〇 価値の低下も含む 〇
破損:〇 通常はこちらが使われる ×
有形資産での区別
「毀損」と「破損」はどちらも有形資産が損なわれる場合に使いますが、以下のように区別されます。
毀損:単に物が壊れるだけでなく、それによって対象の価値が損なわれる場合に使用されます(例:文化財が損傷する場合)
- 国宝を毀損。
- 器物を毀損。
破損:一般的にはこの言葉が使われます。
発音
毀損:きそん
破損:はそん
意味の差異
毀損:物理的損害だけでなく、名誉の損傷や信用の失墜を含む
破損:物理的に物が壊れること
「毀損」と「棄損」の定義と使用上の違い
「棄損」は特に新聞業界で使われる用語
2010年11月30日に行われた「常用漢字表」の改訂により、「毀」の字が追加されました。以下のように、新聞での使用が変更されました。
使用文脈 | 新聞 |
---|---|
2010年11月30日以前 | 名誉棄損 |
2010年11月30日以降 | 名誉毀損 |
また、公用文や教科書では、2010年の改定前に「毀損」を「破損」や「損傷」などの言葉に置き換えていました。 |
「毀損」と「棄損」は基本的に同じ意味を持ちますが、「棄損」は一時的に新聞用語として採用されていた背景があります。これは、2010年の改定以前に「毀」の字が常用漢字表に含まれていなかったため、新聞業界では「名誉棄損」という表記を用いていました。
1981年の「文部省用字用語例」によると、「きそん」は「破損、損傷」と言い換えるよう指示されていました。このため、新聞では漢字が書き換えられることはありましたが、公文書や教科書では漢字の書き換えではなく、異なる言葉に置き換えられていました。
まとめ
「毀損」と「破損」の違いは、無形の対象にも適用されるかどうかです。
対象 | 形のあるもの | 形のないもの | 意味の違い |
---|---|---|---|
毀損 | ○ | ○ | 物理的な破壊だけでなく価値の低下も含む(有形・無形) |
破損 | ○ | ✖︎ | 物理的な破壊のみ(有形のみ) |