「輩出」という言葉は、ビジネスやメディアでよく耳にしますね。
特に「人材を輩出する」という表現は非常に一般的ですが、この言葉はしばしば誤って使われることがあります。
今回は、この機会に「輩出」の正しい意味と使い方をしっかりと理解しましょう。
「輩出」の意味
「輩出」とは、連続して才能ある人物が社会に出現することを指します。
読み方は「はいしゅつ」。一般的に「輩」という字は「先輩・後輩」として使われることが多いですが、「輩」だけで「ハイ」「ともがら」「やから」と読み、仲間や類、次々と並ぶという意味があります。「出」は「出る」と同じ意味です。
そのため、「輩出」は類似した優れた人物が次々と現れることを表します。
また、「輩出」と音が同じで意味が異なる「排出」という言葉があります。これは「内部に溜まった不要なものを外に出す」という意味です。
これらの言葉は意味が大きく異なるため、特にデジタル機器を使った文字入力の際には混同しないよう注意が必要です。
「輩出」の正しい用法と一般的な誤解
「輩出」という言葉は、才能ある多くの人材が次々と社会に登場することを示す表現です。
「輩出する」という形で一般的に使われ、企業や教育機関が成果を紹介する際に「当組織から優秀な人物が登場しました」と紹介するのに適しています。
この言葉は、日常生活、ビジネスシーン、報道などでよく使われます。例えば、「逸材が輩出する」と言い、次々と才能ある人物が社会に登場する様子を描きます。
「輩出」の誤用について
「輩出」はしばしば誤って使われることがあります。
自動詞としての適切な使用
もともと「輩出」は「逸材が輩出する」のように自動詞として使用される言葉です。
したがって、元々は「逸材を輩出する」などの他動詞的な使い方は誤用でしたが、現代ではこの使用法も広く認められており、一般的になっています。
「多く輩出」の使い方
「多く輩出している」「多数輩出している」といった表現は、本来は重複する表現として誤用でしたが、今では広く受け入れられているため、これも一般的に使用されます。
優れた人物に限定した使用
「輩出」という言葉は、「次々に優れた人物が社会に現れる」という意味で使用されるため、「悪人が輩出した」のような負のイメージの人物には適していません。
複数の人物に対する使用
「輩出」は「次々に優れた人物が現れる」という意味であるため、「○○さんを輩出した」という単独の人物に対しては使われません。
- このスキースクールはオリンピック選手のAさんを輩出した。(一人の場合には不適切)
- 我が校から初めてノーベル賞受賞者が輩出した。(連続しているわけではない)
- この地域は多くの犯罪者を輩出した。(優れた人物に限定するべき)
このように、個人が単独で登場する場合や、負の意味での登場に「輩出」を使うのは適切ではありません。
「輩出」の正しい使用法
「輩出」という表現は本来、「……が輩出した」という自動詞の形で使用され、複数の優れた人物が社会に登場する様子を表します。
しかし、現代では「……を輩出」という他動詞的な使い方がより一般的になっています。また、「多く輩出した」という表現も、もともとは誤用とされていましたが、今では広く受け入れられています。
- 明治時代は影響力のある作家が数多く登場した時期です。
- ノーベル賞受賞者を多く輩出している有名大学を志望します。
- 当社は、社会で活躍する人材を育成することを使命としています。
- マラソンの強国、ケニアは、世界トップクラスのランナーを次々と輩出しています。
「輩出」の類語
「輩出する」には次のような類語があります。
- 世に出る/世に出す(社会に進出することや進展すること)
- 巣立つ(特に学校を卒業して社会に出るときの若者の成長と独立)
総括
「輩出」とは、優秀な人材が次々と社会に登場すること、またはそうさせることを指します。
「……が輩出する」というのが伝統的な使い方ですが、現在では「……を輩出する」という形でよく使われます。
この言葉は「優れた人々が次々に」というニュアンスを持つため、一人だけや少数を指す場合には使わないのが適切です。
特にビジネスシーンで頻繁に用いられるため、正しい用法を理解し、適切に使うことが重要です。